五月の裁縫進捗状況
気がつけばあっという間に五月も終盤で、来月には予定通りならばねんどろの浪さんをお迎えできる日が来る。
殤さんと浪さんの服を作りたいと一念発起して、一月から始めたお裁縫。まだあと五か月もあるーなんてちょっと余裕でいた頃が懐かしい。ほんとに、五か月ぽっちしかなかった。忙しい合間に、今日は型紙と生地を切るだけ、とか、今日は袖つけだけ、とか。間が開くといろいろと忘れて、うっかり作りかけの型紙を捨てていたり。不器用ものには裁縫道というのは本当に険しい道のりだと思い知る日々。
でもようやく、自分が買いたかったけど探しても売ってなかった服が、自給自足できるようになったかなと。継続ってしてみるものだなと思った、五月の成果。
(時代考証まったくしてないので、なんとなく漢服っぽい? って程度で作成。)
「おい、巫謠。先月の裁縫進捗記事で、家主が用意していた”きみどり”ってぇのはそれか。」
「実は違う。あまりにイメージと違うので、もっと鶯色に近い黄緑を使った結果が、これだ。」
「ふうん。(ふっくらしてて、本当に鳥みてぇ。)」
「……どちらにしても、赤ほどは似合わぬな。」
「その赤い縁取りの帯、似合ってるぜ。」
「え、あ。……そうか。(どきどきどき。)」
「その、不患のほうは。ガラが悪いな。やはり柄だけに。(焦り。)」
「……あー、街道筋に出る破落戸みたいになっちまったって、家主が嘆いていたぜ。」
「そんなことはない。お前の風来坊ぶりをひき立てていて良い。」
「(そりゃ褒められてるととっていいのか? )」
「来月、本物の俺が来たら、着衣モデルの仕事も終わりだな。」
「なにいってやがる。いくらでも着たらいいじゃねえか。お前も浪浪だし、あいつも浪浪だ。」
「……ありがとう、不患。」