殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

本当なら今月は

六月突入。緊急事態宣言が解除されたうちの田舎は、お店が再開されたけれど用心深いのか慎重なのか、夜はまだ閑散としていて、まだまだコロナの影響は大きいんだなと実感している。

本当なら今月の十四日は、遊びに行くのを楽しみにしていた布袋劇オンリーイベントがあったのだった。エアイベントにはなったけれど、やっぱり、寂しい。行けないけど関西は無事に開催されますように。

 

1日は丹翡さんと獵魅ちゃんのお誕生日、ということで、先日七月十日の誕生日記念に撮りおろしのアクスタが出た無生さん(ファンの皆様おめでとうございます!)と同じように、何か記念に出ているかとTBFPツイを覗いたけれど、お祝いメッセだけだった。

やっぱり無生さんはファンのひとが多いのと、ファンのひとそれぞれの無生さんへの愛がすごく強いと感じるから、特別なのだろうな。自分が特に何か作品にハマる時、たいていキャラ萌えから入るタチであるからそう感じるだけかも知れないけど、無生さんには萌えがあるから。

作品を好きになるときは、物語の力、構成、展開、トリックよりも、キャラクターの容姿、魅力、好み重視傾向。は、確実にある。

萌え語りとか二次創作って、そのキャラやCPのたとえば、好きで気に入ってるとことか推したい理由なんかを自分フィルター全開でアピールすることのできる場だと思ってて。魅力的だと思ってるひとがひとりでも増えると、作品って自然に増えるもの。

でもpixivの東離作品、二期の初めを知ってる身としては増えたとは思うし嬉しいけれども、他のジャンルに比べれば本当に少ない。

言い回しが難しいとかキャラに謎が多いとか人形劇だからとかそういうのはきっと本質じゃなくて、なんというか、一期のときに思ってたのは、面白いんだけど萌えどころが少ないということだった。外伝の生死は、こう、萌えよりも辛さ怖さが先にたってて。二期で浪さんきて、造形から性格から好みで今の今まで萌えまくっていますが。

 

だからどんな気持ちを今ここに書き残しておきたいかというと。殤浪にちょっとでも萌えてる方がいらしたら、あなた様の妄想100文字でもワンシーンでもいいから見せて下さいっていうのと。新しく書いて下さる方がいるとめちゃくちゃ嬉しいっていうのと。できるだけ大勢が見た夢はいつか現実になるから、みんなで夢みよう、ということ。

 

 

というわけで。モデルの太歳さんと白ふよさんカプの妄想ひとつ。

 

「え? 今日の現場、同じ? 」

珍しい、と白ふよは口の中で呟いた。メンズ向け広告や雑誌のモデルであるのは一緒だが、雄みが強い系統の太歳と、ユニセックスな雰囲気の白ふよではほとんど仕事の場が被ることはない。仕事後の待ち合わせや珍しい撮影の勉強に、互いの現場を覗きに行くことはあっても、仕事として、共に被写体として撮られる経験は初めてのことだった。

「おう。……どうした? 顔色が悪いぜ。」

指定されたスタジオまで肩を並べて徒歩で移動しながら、太歳は隣の白ふよの顔を覗き込む。

「……だって、緊張する。」

「緊張感をなくしたらおしまいだろ。アドレナリン出てたほうがエッジの効いた眼になるんだぜ。」

肩を抱き、軽く叩くと、どうしたことかその手を振り払うように遠ざかる。

「先に行ってくれ。……混ぜたくない。」

「混ぜるって、公私混同か? 撮られ始めたらそれはないだろ。お前だってプロの端くれなんだ。それっくらい身についてないっつうんなら、今日は帰れ。」

あえて突き放すような言い方をした太歳の声に、白ふよの肩がびくりと震えた。

「……帰らない。だが、時間が欲しい。」

「勝手にしろ。先に行くぞ。」

 

置いて行かれた白ふよは、必死で足を速めて追いすがろうとするが、太歳の背はどんどんと遠ざかる。

ふたりで歩いている時には、主に太歳が白ふよに歩調を合わせてくれているのだった。白ふよを気にしない太歳の足に、ついて行けるわけがない。疲れてとぼとぼと歩調を緩め、角を曲がって見えなくなった姿を追うのをやめた。

身近な人間に仕事を見られるのは緊張する。けれど、それだけではなかった。

(どうして平気なんだ。)

今回の仕事のテーマ。「カノジョと過ごすより気楽で楽しい、友人とのDIY、クッキング、ゲームetc.」

隠している訳ではないが進んで公表したいわけでもない、年上の太歳との恋人関係。それを思うと、一体どんな顔をして撮影に臨めばいいのか、白ふよにはわからないのだ。

(悩んでいても、仕方がない。プロなんだから。でも。)

少なくともこのまま引き返して、太歳に幻滅されたくない。その一心で、帰りたい気持ちを我慢した。

 

 

遅れて入ったスタジオ内は既に家具と小物、照明機材が並んでいて、いかにも週末に友人の家に遊びに来ました、というシチュエーションが整えられている。

料理やゲームを楽しむにはリッチすぎるハイブランドの長袖Tシャツに、スウェットにスリッパ。先に指定された衣装に着替えていた太歳は、もうすでにプロの顔をしているように見えた。

(切り換えなきゃ。これは仕事なんだ。)

同じく衣装に着替えた白ふよが、懸命に意識を落ち着かせて指示を待っていた時だった。ふと目をやった場所に心ひかれる。

(あの一角の家具。なんだか。太歳の家のリビングのに似てる。)

そう思った刹那。

小道具だろう缶ビールを持った太歳が、やはりそう思ったのかふらりとそちらへ向かうと、白いリネンカバーのかかったソファに座った。いつもの太歳らしく、どっかりと。いや、それはいまいち雑誌モデルらしくない座り方で。

「ふようー、来いよ。」

(は? )

内心で盛大に首を傾げながらも、言われるがままに白ふよはソファに座る太歳に近寄る。これがいつもの、太歳の家のリビングだったらこの後は。猫を膝に招くように軽く膝を示され、太歳の膝の間で抱っこされるのが幼少時から何よりも好きだった白ふよは、ついふらふらと自分の指定席に腰を下ろしてしまい、後ろからハグをされながら背中で体温を感じてちょっと眠気を感じて、それから。

「ちょっと、きみ達! ここは家じゃないのよ!? 」

「おあうっ!? やっべっ、」

「あっ、あっ、(何か言いたいが焦り過ぎて言葉にならない。)」

たまたま今日の現場にいた事務所マネージャー、天命の、あきれたような指摘でふたりは我に返った。太歳はやらかした、と青くなりながら、腕の中にいた白ふよを咄嗟にソファに放り投げるようにして立ち上がる。

カメラマンの指示がないのにソファでいちゃつき始めたモデルふたりを、スタジオ中がどこかあたたかな眼差しで見ていた。

「すんません! 」

「いーよ。緊張してたんでしょ。」

謝る太歳にカメラマンが苦笑しながら、それでも許してくれる。

「緊張……、かもしれん。すまねぇ巫謠。」

「太歳、も、か? 」

「お前の前じゃ、絶対に格好のつかねぇ仕事はしたくないと思ってたのによ。」

ついついうちにいるような錯覚を起こしてしまったと。情けなさそうな顔で、すまんすまんと繰り返す太歳がなんだか可愛く思えて、白ふよは思わずふふっと笑ってしまった。笑ったら、先ほどまでいろいろ考えて堂々巡りになっていた暗い思考や、太歳に見られる緊張などが、白ふよの心からぱーっとどこかへ飛んで行った。すっきりとしたおかげで、自分の表現したいものも思い出した。

珍しく他人の前でいつまでもくつくつと笑っていた白ふよは、ソファに座って太歳の腕をひく。

「俺達のリアル。どう映るかな。」

「どうって……、」

言いながら白ふよの意図に気づいた太歳は、こちらもにっと笑う。

「最高に楽しそうに決まってるじゃねーか。」

 

「あーあ。ちょっと、人目も少しは、ほんのちょっとは考えなさいよ~。」

「いーのいーの。最高にハッピーな画が撮れればね。」