バッタなにさま速水さま

東離三期三話、明夫さんの熱演が存在感MAXだったわけだけど、さりげなく登場したバッタさま、禍世螟蝗猊下。

シリアスな場面で本当に申し訳ないと、殤さんご一行にも明夫さんにも速水さんにもお詫びせねばと思うのだけれど、うん、正直、バッタは敵方として、強そうにもカッコ良くも見えなくて、むしろマークのきょとんとしている目が可愛くて笑ってしまった。

日本ではいなご、と訳される漢語の蝗は、中華圏だともっと大きなトビバッタを指すらしい。歴史上、幾度も大発生して穀物を荒し、甚大な蝗害をもたらしてきたバッタさんは、確かに人類にとって恐ろしい生物なのかもしれない、んですが。日本では海外ほど蝗害が起こらなかったうえに、イナゴといえば田舎じゃ佃煮にして食べる地域もあって。（穀物の害虫といえばバッタじゃなくてウンカのイメージ。）こう、なんというか害虫でありながらバッタ顔の仮面ライダーはヒーロー側だし。

たとえば蠍→日本じゃみないけど、刺されたら死ぬ怖い。百足→日本によくいる。噛まれるとめちゃくちゃ痛い。カマキリ→その辺によくいる。別に襲ってこないけど見た目が嫌いなひとが多い。スズメバチ→刺されたら痛いし死ぬ人もいる。

で、イナゴ→水田にいる。稲食べるけど人は襲わない。ところにより食用。

これが怖い生き物かというと、人類全体はともかく現代日本人のイメージでは非常に微妙なところ。これが蛇なら本能で怖いが。

カマキリやスズメバチはバッタ（増える前の）食べる。今後下剋上あるな。

生き物で、得体の知れない大物感があるとしたら、個人的にはナマズのほうが怖い。

古来から日本には、日本列島が大鯰の背中に乗っていて、鯰が動かないよう鹿島神宮や香取神宮etc.の要石で刺し止めている、という言い伝えがある。鯰が暴れれば地震がくるとも。それを知った子供時代から、鯰は恐ろしい生き物になっている。固定されない島は寄る辺なく漂流する、その怖さ。

まあ、生き物じゃないけどフォッサマグナとかも十分怖いんだけど。地震ばかりは不条理で、自分じゃどうしようもなくて、まさしく日本の天災。まあでも、鯰じゃラスボスにならんもんなぁ。

そしてそんなバッタ様、さっそく凜さんが新しい玩具を見つけたように目をきらきらさせながら眺めていた。２期で殤さんが、あんな奴に手を借りるんなら、禍世螟蝗のほうがまだマシだ、的なことをのたまっていた凜さん、つまり殤さんの印象では、外法・外道として厄介極まりないのは西幽の禍世螟蝗＜東離の掠風竊塵なわけで。なんというかこれは、良く考えなくとも、戦う前から勝敗が決してしまっているのでは。今度は最後まで美味しく食べられるといいね、凜さん。

バッタ蝗害は大群が命なので、今のところ幹部がちょっとずつしか出て来ないと戦力として寂しい。信徒さん何万人も襲ってこられたり、それで零式の秘匿大軍神とか、逆海祟帆みたいに大勢の信徒の命を犠牲にするスタイルだったら、主人公側としてはすごく手強い敵だと思うのだけれど。出るかなそういうシーン。

◇◇◇◇◇

殤さん戦闘中

背負った浪巫謠に、捲殘雲がこそりと聞く。

「……なあ浪さん、あの、禍世螟蝗って悪い奴なのか？　」

「……悪だ。」

「それってー、掠風竊塵と、どっちが悪い奴？　」

「……とんとん。」

「なにそれ、どっちもどっちってやつぅ？　」

「五月蠅いぞ雑魚ども、お前らの相手は私だ！　」

「はて、雑魚とは……一体誰のことを言うのかな？　（にこにこ）」