殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

情とはなにか

東離の一期から見ていると、今の三期ではまだ、あれが出てきていない感が。語彙が足りなくて上手く言えないけれど、たとえば一期だったら、「剣とはなにか」by無生さん、「英雄とはなにか」by狩兄、二期だったら「忠義とはなにか」by諦空さん、「強さとはなにか」「将を率いるのにはなにが要るか」by殤さん、「悪の矜持とはなにか」by狂狷さん、みたいに、それぞれが自分の主義(というか作者の主義)を長語りする台詞があったものなんだけど。三期は誰にもそんな暇がないからか、今のところ睦っちゃんの「男ってさぁ」ぐらいしか思いつかない。抜き出してポスター化できる、小テーマを抱えたワンランク上のカッコいい台詞がない、といいますか。まだ半分だし、これからたくさん出てくるのかな。

その代わりとでもいうように、情に訴える場面はのっけから多かった。無生の墓参りをする凜さん、おとなしく皇女に刺された浪さん、そんな浪さんを二期との逆で終始背負って助ける殤さん、部下への情で裏切りを決意した明夫さん、ひたすら媛を求め続ける婁さん、睦っちゃんへの想いを吐露する殤さん。すべては愛と情ゆえに。

なので、三期のテーマは「情」といってもいいのかも。この後浪さんが、七話で魔族との関わりが明らかになったとしたら、そこには家族の情も入ってくる。

そんな中でも、情の見えない螟蝗猊下(本名もまだわからないし蠍っちゃん死んだときも塩対応)、やっぱり他人への情より己の愉悦~の凜さんのブレなさが、きっと後半で生きてくるんだろう。

 

情とは諸刃の剣。抱えたことで己も他者をも傷つけ、ある時は最大の弱みになる。でも、人と人との繋がりはそれだけだろうか。

守りたいものがあるのは武侠としては、弱味かもしれない。でも、人間としては逆に強みじゃないのか。支え合い、様々なものを差し出し合って生きて来たあたたかな記憶と、いつでも思い出せる温もりは、逆境でその人の強さや優しさにならないだろうか。人に優しくあれるのは、自らも優しくされてきたからこそ無意識にできること。殤さんが持っている優しさに浪さんは救われ、守りたいと思っているけれど、その優しさを育んだのは西幽で共に過ごした睦っちゃんや天工さんや浪さん自身なんだよ。仲間がいなければ、きっと殤さんは今頃剣を収集するだけの、空っぽの鬼になっていた。

失うと想像したら、辛くて胸が潰れそうで耐えられない存在。己が空っぽになってしまうほどの存在。それが殤さんにとっては浪さんと睦っちゃん。宝物のようなふたりがくれる情はかけがえのないものだけれど、失いたくないから背を向けた。愛された思い出があるから、自分はもうどんな時でも大丈夫だと。

あの場面は、浪さんと幻影の睦っちゃんに、殤さんをぎゅーっと抱きしめて欲しいところだった。きっと、何もかも終わって睦っちゃんのところへ会いに行けたなら、そんなシーンが見られると信じる。