母上様の
・母上様の死因。ひとは、あまりにも簡単に死んでしまうことがある生き物、というのを差し引いても、あんまり説得力がないかな、と思った。最初は。
男の子を育てるお母さんだったら、声変わりくらいは知ってると思うし、歌に関わる仕事をしてたなら尚更だろうと。去勢でもしない限り、男の子ってふつう声変わる。
それに思い至れないほど動揺している精神状態だったのか、声変わりを知らないほど深窓のお姫様だったのか。巫謠さんが既に子供の頃に去勢済で、声変わりはしないものだと思いこんでいたのか。去勢しても変わる子は変わるんだけど。
でも、不自由な雪山で子育てするくらいには精神の強い女性で、剣の腕も相当達者なストイックな人であるのに。
自分のやってきたことが全部、無駄になってしまったと思って。子供の未来が閉ざされてしまったのがわかって、絶望したんだろうか。強い人だったからこそ、折れるときはあっけなく折れちゃったのかな。
それなら、わかるような気もする。
まっすぐで、不器用なおかあさんだと思って観てた。浪巫謠さんの不器用さっていうのは、間違いなくおかあさん譲りだ。