いい兄さんの日
11月22日、いい夫婦の日に続いて23日はいい兄さんの日であるらしい。サンファンで言うと、殤さんは家族を失っているという噂だし、浪さんは一人っ子であると明かされたしで、はっきりと兄の存在がわかっているのは丹翡嬢と、農家の末っ子だという捲殘雲くらいか。
でも、妄想上では兄弟ネタが出来るのがいいところ。赤い浪さんが兄、白い浪さんが弟だとすると、殤さんが兄、啖劍太歳さんが弟。これの何が素晴らしいかっていうと、殤さん×赤浪さん、殤さん×白浪さん、太歳さん×赤浪さん、太歳さん×白浪さんの、四通りもの素敵なカップリングが楽しめるのですよ。
殤さん兄弟。落ち着き払っていて、包容力ある兄と、ぎらぎらしていて目的の為なら手段を選ばない、ちょっとやんちゃな弟。浪さん兄弟は自信をもって自分の行く道を進んでいる兄と、まだ周りの意見に左右される、頼りなく不安定な弟。
現パロだと、pixivにある大好きな作者さんの現パロで、骨董商の殤さんがいらっしゃるので、兄殤さんは骨董商がいいかな。太歳さんはメンズ誌のモデル。兄浪さんはアーティスト。弟浪さんは音楽科に通う高校生で、バイトで読モをやっている。おうちが隣同士の幼馴染で、年が上の殤さんちはよく、お隣の兄弟の面倒を見てきた。浪兄弟も優しいお隣のお兄さん達が大好き。
慕ってくれる弟のように可愛がってきたはずの浪兄弟が、年々眩しいくらいに美しくなっていくのをみて、誰にも取られたくないとふたりの心に独占欲がわく。ある時、兄殤さんは骨董店の奥座敷で兄浪さんを手籠めにしてしまい、弟殤さんは自宅の自室で弟浪さんを押し倒してしまう。互いが互いに起きた出来事に口を噤んだまま、両家の間にぎこちない空気が流れるが、最後はきちんと気持ちを伝え合って、兄弟ともハピエン。
「どうした、兄貴。落ち込んでんな。」
店を臨時休業して、店舗に引きこもっている兄の元を訪ねた弟。
「……ひととして、やっちゃならねぇことをした。」
「殺し、のはずはねぇな。強請りたかりか、それとも、」
「合意がないのに、好きな奴に狼藉を働いた。」
「相手の様子はどうだ。法に訴えてきそうか。」
四人で囲んだ食卓で、兄殤は、いつもと変わりなさを装っていた相手を思い出す。
「いや……、そういや、思ったよりも普通だ。いっそなかったことにしたいのかも知れん。」
「ふーん。」
「それよりもお前こそ。白ふよと何かあったのか? 」
「怖くて、熱くて、どきどきしたけれど。いやじゃなかった。」
男に押し倒されて、あちこち触られて。嫌じゃなかったといえる時点でそれは、相手に十分な情がある証拠だと思えるのだが。弟の心にはまだ、恋といわれるはっきりとした形は浮かんでいないのだろうか。
「兄さん、どうしよう。」
涙目の弟を抱きしめながら、思う。恋い慕う相手から求められ、嬉しくないはずはない。自分は確かにあの時嬉しかったし、だから口では戸惑いの言葉を漏らしながらも、体は抵抗せずに受け入れた。もし、求められたのが体だけ、なのだとしても。自分で選んだ道に後悔はなかった。
「お前は太歳が、好きなのか。」
「好き、なのだと思う。」
「なら、伝えればいい。」
「そうか。……兄さんも、好きなひとに伝えたのか? 」
「あ……、」
忘れていた。わかってくれているとは、思うのだが。
白ふよさんは、物言いはきついけど、強くて芯があって、自分の事を心配してくれている不器用な太歳さんが好きだし、憧れている。音楽はお金がかかるから、と読モのバイトを始める時にも、心配してつききりでいろいろ教えてくれた。
赤ふよさんは、デビューしてからスターとして偶像化され、疲れ切っているけれど。どんな時もひとりの人間として扱ってくれる殤さんの懐では安心して眠れる。
太歳さんは、覚束なくも自分の足で歩こうとする白ふよさんが危なっかしくて放っておけない。飛び立つ前の鳥を見守っているうちに、いつの間にかその虜になってしまい、無事に飛ばせたい気持ちと籠に閉じ込めたいジレンマとでもがいている。
殤さんは、子供の頃から面倒を見ている浪さんの飛躍が嬉しく、店に不似合いのポスターを貼ってしまうほど。自分にしか見せない顔で甘えてくる浪さんが可愛くてたまらず、自分の腕の中にいる時にはアーテイストの看板を下ろして、一羽のさえずる小鳥であってくれと願っている。
こんな兄弟パロ、好きなんだけど、どこかにさくっと完成品落ちていないかな。