殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

背景ボード

たまたま近くに用事があったので、ちょっと大きめのキャンドゥに立ち寄った。五か月後に備えて、お召し物の用意と並行して取り掛かりたい家具の用意、ねんどろさんにちょうどいいウッドクラフトの背景ボードというものがキャンドゥにはあるらしい。

都会のキャンドゥならともかく、田舎のキャンドゥに置いてあるのかしら、と半分期待しないで覗いたら、全部じゃないけどありました。すごい。いろいろあったなかで、床の間つきの和室と、坪庭つきの和室と、煉瓦のリビングを購入。海や森、レトロ商店街(お寿司屋さんやベーカリー、甘味処などなど)のシリーズもあったけど、ねんどろ殤浪さんたちはあの風貌だから背景を選ぶよな、と思って見送り。和室はまあ、現パロでどこかの和風旅館に泊まりにいった設定でもいいし。甘味処はあっても良かったかも、また後で買いに行くか。

ウッドクラフトは品数がなく、ソファとローテーブル、椅子と机があったので二種類購入。和室用の椅子がなかったのが残念。

ちゃんとした背景には及ばないけど、なにがいいって、収納場所をとられないのとお財布に非常に優しいお値段。椅子と机はボンドがいるので、お休みの日にゆっくり組もう。

お衣装用の端切れも、いい感じのものがあったので買い足し。服作りに慣れるまでは作務衣と浴衣のラインナップばかり増えそうだ。

布を眺めながら、「これは殤さんに似合いそうだなぁ」「こっちはお揃いの柄でもいいな」と楽しかったので、お人形の洋服作りが趣味の方の気持ちがちょっとだけわかるようになった、裁縫素人。

 

放っておけば、着るものはわりとなんでもいいという兄浪さんのために、服をチョイスしているのは弟の白ふよ。同じく、裸でなければいいという兄殤さんに、撮影で着たちょっと渋めのデザインの服を買い取ってプレゼントしているのが太歳さん。

建築、写真、衣装デザインの三つをこなす希代のマルチクリエイター、蔑天骸の新作発表の展示会に招待された太歳は、白ふよをエスコートして参加する。各部門の実務を任せている三人の弟子達を引き連れた蔑の威厳は見事なもので、斬新な発想と高いカリスマ性とで支援者用のファンクラブ「玄鬼(くろおに)」の入会者もあとを絶たないという。

「蔑先生はなぁ。性格はどうも理解が及ばんが、服が服だけで成り立つパワーの服を作っちまうような、凄味のある人だからな。」

モデルとしちゃ、複雑なんだよ。今回もインパクトの強いラインナップを眺めながら、太歳が傍らの白ふよに屈みこみ、小声でそんなことを言う。

はっはっはっ、人に着られる、用いられるかどうかなんて知ったことか。俺は誰かに着られなくても服なのだ。服に顔がついていたら哄笑してそんな台詞を吐きそうな、自己主張の強い服が蔑の得意とするところだった。

「……蔑先生の服は、着ると、自分まで強くなった気がする。」

白ふよもひそひそと唇を寄せて返す。自信がない時に身にまとうと、服の威を借りて胸を張れる気になる。俺の服を着たんなら一発ぶちかませ。服を通じて、蔑にそう言われているようだった。

「だな。じゃ、探すか。」

「うん。」

短く話を切りあげて、ふたりが検分し始めたのは赤浪のためのステージ衣装だった。歌うのは好きだが、人前で歌うのは実は苦手な兄が、そういった素振りをステージ上で微塵も感じさせないのは蔑の衣装の手柄が大きい。

「これはどうだ? 」

「いいけど、袖のレザーが演奏に邪魔そう。」

「あー、そうか。」

「ホットパンツに網タイツ……、」

「やめとけ。兄貴が関係者席にいたら卒倒すんぞ。」

腕を組み、顔を寄せ合って、新作の一枚一枚の前で足を止めながら、ああでもないこうでもないと議論を重ねる。そのうち互いに似合うものを選び始めると、互いを褒め合ってとまらない。

「その紺のシャツいいな。お前の髪色が生えて、美人度1000倍増しになる。」

「太歳のほうが似合う。どこまで男ぶりを上げれば気が済むんだ。」

展示会デートは、普段あまり素直になれないふたりが好む、お出かけデートのひとつだった。

(あの服を着せて、脱がせたい。)(脱いだところ、見たい。)

ひとが周りにたくさんいるのに、キスしたくなって、困ってしまう。

 

「おい、お前ら。そこのモデル夫婦。……ひとの展示会でいちゃこらするのはやめろー!」

旧知の仲である写真部門のトップ、殘凶に叫ばれるも、まったく意に介しない太歳と白ふよなのだった。