殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

こんなに辛いのなら

甘いお菓子のあとは、しょっぱいお菓子が食べたくなるのと一緒で、そして甘いしょっぱいの繰り返しで無限に食べられてしまうのが世の道理で。ちょっと甘い殤浪妄想をする後はしょっぱいというか辛い妄想がわいてきて、甘い辛いで延々と殤浪を摂取してしまうのだよな。

そろそろクリスマス、という時期なのでクリスマスに現パロ殤浪さんがどう過ごしているのかを考えていた。現パロ軸いっぱいあるけれども、兄弟パロで。

この日だけは絶対に休みをもぎ取る! と頑張って、アーティストの浪さんは殤さんちの店の居間で、ショートケーキと鶏鍋なんかを食べてほっこりとしてる。この二人は無事にくっついてからはすごく安定してて。自宅に帰らず店舗の住居部分で仲良く過ごしている。

一方で、くっついてからも一波乱、二波乱あるのが太歳さんと白ふよさんの弟組。付き合いのクリスマスパーティをはしごして、抜けられずにいる太歳さん。いい仲になってから初めてのクリスマスなので、一緒に過ごせるかもしれないと期待していた白ふよさん。プレゼントも買って楽しみにしているけれど、太歳さんはいっこうに帰ってこなくて、、、。

兄浪さんは心配して、夕食の鍋に弟も誘うけれど、白ふよさんは殤さんと兄浪さんに気を遣って断り、自宅に戻る。連絡はないし、自分からは怖くて連絡が取れないし、イブの夜は次第に更けていく。

パーティともなれば、着飾った美しい女性達がたくさんいる。彼女達と過ごすうちに、想いを告白してくれたのは冗談や勢いやなにかで、自分のことなど忘れ果ててしまったに違いない。昔付き合っていた相手と、再会して盛り上がっているのかもしれない、と不安になる。こんなに辛いのだったら、単なる年上の幼馴染のままで、好きになどならなければ良かった。

それでも。不器用な優しさをみせるあの男だけが、白ふよさんにとっては唯一の想い人だった。好きにならなければ楽だったけど、報われないからといってひとつも悔やみはしない。泣くのは心の中だけにしよう。買ったプレゼントは、自分で使おう。今夜は好きな曲でも聞いて過ごそう。

そう強く決めて、その晩はひとりきりで長い夜を過ごす白ふよさん。

翌朝、タクシーで帰ってきた太歳さんは、隣家のリビングで着替えもせず寝落ちている白ふよさんを発見する。待たせていたなら悪かったな、と反省する太歳さん。目覚めて、太歳さんの顔をみて、我慢していた気持ちが溢れそうになるのを必死で押さえつける白ふよさん。ただでさえ年下なのに、我儘をいう弟分には見られたくない。なにもかも飲み込んで、聞き分けよくして。面倒なことを言う相手だと太歳さんに嫌われたくない。でも、本当は。

朝なのに、なし崩しに求められて始まった情事にも、心がついていかずに苦しむ白ふよさん。鈍感な太歳さんは、体だけを欲しがってるような突然の行為や、自分のまとって帰った移り香の沁みた衣類が白ふよさんを傷つけているのに気付かない。

ひとの気持ちを振り回して、勝手な男。でもこんなに好きになってしまったのだから仕方がない。純粋で何も知らなかったまっさらな白ふよさんを書き換えていったのは太歳さんだった。愛の歓びも、恋の痛みも全て太歳さんに与えられたもの。そう思って、白ふよさんは納得しようとするのだった。

 

事が終わり、息も絶え絶えにベッドに沈み込んだ白ふよさんの指に、するりと指輪がはめられる。クリスマスプレゼント、とぶっきらぼうに言う太歳さん。気がつけば太歳さんの指にも揃いのデザインの指輪があった。

自分は言葉足らずで、どうしても不安にさせてしまうから。言葉の代わりに、いつでも想ってるという気持ちを証にして贈りたいと思っていた。太歳さんはそう言う。

婚約指輪に等しいリング。急に準備しようと思い立ったこの指輪の為に、借りを作った相手に誘われて、朝までパーティを抜けられなかったこと。連絡ができずずっと気にかかっていたこと。昨夜の不在を訥々と謝る太歳さん。

このひとは、ちゃんと自分を見ていてくれた。自分の気持ちを、わかっていてくれた。

指輪をはめられた左手を握りしめ、ずっと我慢していた涙をとめどなく落とす白ふよさん。言えずに押し込めてしまった言葉は、これからも素直に言えそうにないけど。たったひとこと、ねだる。一緒にケーキが食べたい、と。目を丸くし、それでもおう、と応じて、急いで支度してクリスマスケーキを買いに行く太歳さん。

他のひとより少し遅れて来たクリスマスイブは、ふたりにとって最高のイブになったのだった。

 

やっぱり、暗い妄想では終わらなかったな。どんなに紆余曲折あっても最後は幸せに、が理想。太歳さんと白ふよさんもふたりでじゃれ合いながら、お腹いっぱいケーキ食べて欲しい。