殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

かーわいそう、かわいそう

異飄渺はかわいそう。

 

なんといいますか、東離三期十二話。

のっけから、「萬将軍に続けーーー!」みたいなサンホラ風味に始まり、明夫さんどうしてそれをもっと早くやらなかったの、となり。照媛と婁さんの解釈違い仲たがいは、やっぱりそうだよねぇと期待した通りであり。

 

凜さんと捲ちゃんの入れ替わりも予想通り。ビョンホンと捲ちゃんの入れ替わりは予想してる人が何人もいらしたので、なるほどそうだろうと思っていた反面、それをやってしまったらただでさえ見せ場が少ないビョンホンの、軍破殿や猊下とのやりとりの面白さが消失してしまうということなので、折角立てたキャラを見せ場もないまま使い捨てるかな勿体ないし花江さんだし、と疑問にも思っていた。

……ら、使い捨て枠だった。

 

仮にもDVDのおまけグッズに抜擢されるような敵キャラの最後が、主人公の策士ぶりをアピールする為だけの、使い捨て枠にされる、それがサンファン

 

登場した時から、なんだか事前に設定を聞いていた性格だったり行動様式だったりを思わせる部分があんまりないなぁと思っていた異飄渺。

武術の天才で猊下の薫陶を受けて武道と外法の術との独自の合わせ技を見出し、打倒啖劍太歳に燃えていた、ひとりの若者の生きざまが、どう描かれていくかと期待していた。

それが終始、軍破殿のフォローに追われ、掠風竊塵に騙され、最後は剣の扱いもまだまだな、ろくに知らない東離の誰かに背後から騙し討ちにされて、念白もないままに、死んで行った。しかも、異飄渺としてですらなく、まったくの赤の他人として。死んだ後もいいように利用され、妖魔の女の鼻を明かすのに使われた。

 

死んだのに、死んだと思われず、追悼もされず。本当は亡くなっているのに、誰にも知られることなく別人として他人のお墓に入り、足跡を偲ぶ人もいない不幸。

すーふぅを思い出して、ぼろぼろと泣いた。異飄渺がかわいそうで泣いた。

 

出会って間もない人間の口車に、うっかりと騙された当人が悪いのは百も承知なんだが。猊下とのやりとり、異飄渺にも期待をかけているという言葉、本人が直接聞いていたんだったら嬉しかったと思うんだよ。蠍っちゃんみたいに、たとえ技量及ばず敗れるにしても、正々堂々と正面から殤さんに倒されるんだったら、本人も納得のいく終わりだったと思うんだよ。

それが、詐術に殺された。

詐術はやはり、外道のゲだ。

 

軍破殿にも、誤解されたままだったね。最後までわからなかった、と言われたけれど、最後の異飄渺はなりすましだったわけで。本当の異飄渺だったら、照君臨打倒に立ち上がった萬将軍になんと声をかけたのか。大義は特にないという彼のこと。

「面白い、魔族にどれほど我が技が通用するのか試してみたかったところ。」

「いやいや、さすがに猊下の意に背くのはいただけない。」

どちらになったのか。今となっては彼の本心は聞けない。

 

あらためて、ひとを騙して手の平で操って、それが痛快で面白いと思える人間しかついていけない物語であるのだと。自分の手で生み出したキャラクターさえ最上を追求するためにはあっさりと使い捨てに出来るのが超一流(プリマ・クラッセ)なのだと、理性ではわかる。でも情緒的なものが、無念だと叫んでいる。

ああ、でも霹靂さんらしいといえばらしい。理不尽で無念な、え、ここでこの人がこの人の手にかかるの、、、っていう死の江湖、死の宝庫。異飄渺もまた、ご本家翻訳導入に対する踏み絵であるのか。

 

もし今後、西幽版の過去編が作られたとしても、異飄渺の登場はない。三期の無界閣で殤さん達に出会ったとき、お初にお目にかかる、的な名乗りを上げてしまったから、過去での絡みがあると矛盾してしまうんだ。ビョンホンのことをよくわからないまま、もやっとしたまま別れてしまったのは私達も同じだよ明夫さん。

 

せめて、全てが終わった後で。全てが明かされた後で。偽物ではなく本物の異飄渺として、軍破殿や猊下の手で、きちんと弔われていて欲しい。この先、凜さんが異飄渺を偽り続けて猊下接触し続けるのならば当分難しいのかもしれないが。死が正しくどこかで明かされないとあまりにも不憫で不幸過ぎる。

お墓にきちんと名前も彫られ、愛用の鎌と、「お前は蠍瓔珞を気にかけていたからな。」とサソリのぬいぐるみをお供えされていて欲しい。蠍っちゃんによろしくな。ふたりでたくさん愚痴っていいんだよ。