殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

赤は赤でも

甘い話を妄想した後は、反動で暗い話が出てきてしまう、というよりも普段から六割方はシリアス方面な妄想ばかり沸いている脳内ではあるので、通常運転といえば通常。寒いと余計に、暗い方へ暗い方へ考えてしまう。

そういえば一期で、殤さんは目前で回避したけど、闇の迷宮っていうのが出て来たんでしたね。これを聞いて真っ先に想像した古のゲームが、サガフロ、そして赤カブだった。サガフロでは大事な人を置き去りにしないと出られないダンジョンだったけど、サンファンでは迴靈笛がないと抜け出せないダンジョン。無生さん達は通ったけど、結局殤さんは通らなかったので、作中では幻のダンジョンになってる。

ここが、魔剣目録の隠し場所としてはけっこういいんじゃないかと以前から思ってて。もし、敵が目録を手に入れたとしても、正しい出口が分からなくて出られないなら、目録共々、一生迷宮を彷徨うしかない。サガフロのパロともいえる。

殤さんは目録を処分すれば、ただびととして市井で暮らせる。落ち着いた暮らしを取り戻せる。でも、浪さんは、西幽玹歌でも明かされたけど、たとえその柄を自分で握れたとしても、一生一振りの魔剣として生きていかなければならない。どれだけ歌が好きでも、雪山で獣を相手にしか歌えなかったように、その歌は人前で歌ってはならぬもの。

殤さんを魔剣の護り役から解放するため、これ以上凜さんのいい玩具にされないため、誰にも迷惑をかけずに歌うため。理由はいくつも挙げられるけど、目録の番人として闇の迷宮で生きようと決心する浪さん。たぶん迴靈笛の木霊じゃなくとも、琵琶の音の響きで、浪さんには正しい道がわかるんじゃないかな。そんなことを殤さんに言って安心させておいて。凜さんに魔剣目録の贋作をたくさん作らせ、迷宮のあちこちに配置して、敵にもそういう情報を流しておく作戦を立ててもいい。

でも、白薔薇姫が迷宮にひとり残ったように、みんなで一緒に行くけれど浪さんは残るんだ。赤カブみたいにひとりぼっちで。いや、聆牙もいるけど。もしや聆牙こそが赤カブか。カラーリング赤いし。

いろいろあるうちの理由のひとつは、辛い片恋を、断ち切るためでもいい。相棒として信頼してくれる相手に、友情を越えた想いが芽生えてしまった。死地である鬼歿之地をも渡れるほどに膨れ上がった、思慕の念。このまま側にいたら何を口走ってしまうかわからない。そうして信頼を裏切って疎まれる前に、いっそ離れてしまいたいと。

殤さんが幸せになるなら、守る為なら、自分の身は顧みない。そういう浪さんが選んだ、誰も不幸にならないための道。想いを押し殺すための選択。

 

迷宮の入り口に立つと、中から歌声が聞こえる。でも、入り込むとそこは底なしの暗い迷宮で、石段と扉ばかりがあって、歌を辿って進もうにもまったく歌声の主に辿り着けない。新たな闇の迷宮の伝説が生まれる。

 

晴れて魔剣から解き放たれ、自由の身になった殤さんは、何を思うだろう。

もう誰に追われることもない。普通の暮らしが送れる。枕を高くして眠れる。でも。

頭に浮かぶのは、別れ際の浪さんの、伏し目がちな微笑ばかり。

 

この後殤さんはどうするのか。浪さんの恋心は時と共に風化してしまうのか。トリックスター、凜さんはどう動くのか。

……どれだけシリアスに発展させたところで、最後はちゃんと殤浪両想いエンドなのだから、冬の寒さも殤浪のお熱さにはかなわない、というところが着地点なのだった。