殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

香水

先日、三期主題歌が出るけどCDリリースは難しいのかな、と思って書いたら、今日になってリリース情報も無事に出ていた。良かった良かった。

あーでも、今回はいろいろ大人の事情で他アニメとの主題歌と抱き合わせに。もしこれが10月放映だったら単独だったのかもしれないし、二期主題歌みたいに東離限定版のジャケットで発売されたのかもしれないと思うと、延期の影響は大きかったんだな。

ワンフェスも軒並み中止で木偶様の展示イベントもできない。アニメでないだけに、複数あるアニメ関連のメディアで宣伝することも難しい。でも、三期からファンになってくれたひとが増えて、ひとりでも殤浪のエモさに落ちて同好の士になって下さったら嬉しいと思う。

新しい作品をどんどん発表するのは時間的に困難だけど、約一年半ここのブログを続けて妄想小話だけはけっこう溜まったので、質より量、ウェブ再録で殤浪タグの数を増やそうかと思案中。玉石混交というけど、うちの砂利みたいな短い小話があれば、よそ様のおうちの宝石がいっそう輝いてみえるんじゃないかと。にぎやかしというか、殤浪後援会の民としては放映前後のお祭り感はきっと大事だよね。

できないことはやれないので、ひとまず自分のできることからひとつずつ。ちっちゃい砂粒も砂利も、セメントと混ぜればコンクリートになるのだし。

 

そういえば去年流行した歌に、『香水』というのがあったらしいけど、とんと流行に疎かったため、未だに誰のどんな歌なのか存じ上げない。『夜に駆ける』だけはかろうじて一回聞いて、なんだか全盛期のニコ動でGUMIちゃんで再生上位ランキングに入ってたような曲だなと思った、ら、作者さんがボカロPだったらしい。どおりで。

今ではYouTubeばっかりになってますが、ひと昔前のニコ動は本当に勢いがあってすごかった。毎日新しいなにかが生まれて育って尖って前衛的で刺激的で、『夜に駆ける』みたいな曲がひと月に30曲ぐらいランキングを席巻してたんですよ、、、と今の若い方々にいうても信じられないんだろうな。

 

霹靂さんは東離のグッズを本当に数も種類も沢山展開して下さっていて、でもニトロショップでは霹靂さんの出したグッズは買えないし、霹靂直営店でもニトロさんの出したグッズは買えないという縛りがあるらしく、台湾で新製品が出るたび、いいなぁ、うらやましいなぁと見てるしかない現状。

そんな中、新しく出るDEMETERとのコラボ香水は、どうやらコラボ商品でなければ同じものがDEMETERジャパンのウェブショップから買えるらしい。

どれどれ、とレビューを見たら、浪さんのがお寺・お香のかおり、殤さんのは瓜の香り、と、日常使いするのにはいささかハードル高い系のシングルノートだった。

 DEMETERの香水、公式からは、シングルノートの香りを複数重ねて自分好みに調合するレイヤリングがおススメされているのだけど、それでもって殤浪好きとしましては、それぞれのイメージ香水を重ねて用いたいわけだけど。瓜+お寺、まったく想像がつかない組み合わせ。でも試してみないことには始まらないので、とりあえずポチった。到着が楽しみなような、ちょっと怖いような。

 

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「兄さん、殤兄さんとこで寝てた? 」

人気アーティストである兄の赤浪と、音大生の白浪は一軒家の実家暮らしの兄弟である。両親は仕事の都合で海外在住、赤浪も仕事や恋人の殤の家に入り浸ってたびたび不在にし、白浪は白浪で隣家の年上の幼馴染み兼恋人である太歳の部屋に半同棲しているため、兄弟が共に過ごす機会は年々少なくなっている。

それでも赤浪が生活の基軸にしているのは実家であり、リビングで寛ごうと紅茶を入れたところで、ソファの先客だった弟に尋ねられた。

寝ていた、というのは少し違う気もする。SNS上で少し面倒くさい中傷があって、たまたま耳に入って、気分が落ちて、殤の店に駆けこんで、ぎゅーっとしてもらったってだけ。

けれどそんな事情のどこから弟に話し出せばいいのか、紅茶と限定の苺のカントリーマアムの載ったトレイを持ったまま、立ちすくむ。慰めてもらった話をすれば、その原因となった中傷の話までしなければならず、心配かけるのもなんだし。殤に抱きしめてもらってメンタルが回復した話を身内にするには、非常に照れくさいものがある。

かといっていつまでも黙ってるのも、無視したみたいで気が引ける。ここまでたっぷり10秒思考し、赤浪はぎぎぎ、と音がしそうなほどぎこちなく首を傾げてみせた。

「………なんで? 」

「兄さんのだけじゃない匂いがした。」

「う、」

トレイをリビングのテーブルに起き、慌てて袖に鼻をつけて匂いを嗅いでみる。確かに昼間、殤の家で殤の腕で、ぎゅーっとしてもらったのだ。けれどそれだけではなかった。暖かくて力強い腕に包まれ、確かな鼓動を聞いているうちに、すっかりと安心してしまっていつの間にか眠り込んでいたのだ。優しい赤浪の年上の彼氏は、そのまま引き離して布団に転がしたりせず、腕の中の浪をそのままにしてずっとそばにいてくれた。

だから、殤の移り香がしても不思議はない。ないのだが、そうとは言いにくい。

「あ、」

鼻がとらえる、ふわりと微かに柔らかい、殤と自分の混ざった香り。

「うう、」

思わず顔が熱くなった。浮かんでくるのは心の底を引っかいて出たがっているような、叫び出したくなるような、恋人への愛おしい想いの丈。

想い結ばれた相手との混ざり香に優るものはなし。幸せそうなその香りに白浪が頷く。

「まぁ、兄さんにとっては、どんなブランドの香水も裸足で逃げ出すよね。」

「うん。」

ようやくまともな返事がかえせた赤浪なのだった。

 

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