殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

とーきーをー、かける殤さん

それにしても、三期の登場人物の多い&濃いこと。東離三期七話でさらに魔界伯爵べるたんが増え、モブながら確かな存在感のネームド魔族となった三人兄弟も増え。

本当はちゃんと本名で書かなければならないところなのだろうが、難しい漢字名前の羅列の多い東離キャラの中でも、ひときわ面倒くさい当て字貴族。もう、ふよの親族らしいから簡略化してべるにさせて欲しい。これは、西洋の偉い貴族に、フォンだのツーだのとくっつく影響で長い名前になってるのかな。自分は魔界じゃ庶民だから、的なことを言ってた刑亥姐さんはたった二文字の名前だし。きっと魔王クラスだと十文字近い漢字名前になるんだろう。

 

今までの情報が整理されるどころか、更に謎が積み重なった七話。殤さんはタイムトラベル経験者だというし、ふよべるはどうも親族関係がありそうだと匂わされ。凜さんはその能力から神仙なのかとずっと思っていたけど、他の二人もただの人間じゃなかった。本当になんでもありな異世界ファンタジーの雰囲気になってきているので、平行世界が存在したり、殤さんが窮暮之戰を終わらせた英雄、浪さんは魔王、凜さんが人間に神誨魔械の作り方を教えた神仙、と言われてもきっと驚かない。

 

物語の根幹に関わる大きな謎も気になるんだけど、小さな謎もまた喉に刺さった棘。

たとえば。萬将軍に西幽から無界閣に送ってもらったという凜さん。一体どうやって。

たとえば。魔性の歌声と呼ばれる浪さんの歌声が、人間に対して悪影響なのはわかる。胆力のない人間はおかしくなる、と言われる。それが魔族由来であるなら、魔属性。魔を打ち払う聖属性じゃない。なのになんで、魔族に悪影響を及ぼすんだろう。

たとえば。「気をつけろ、地上で戦う魔族の比じゃねーぞ。」と言ってた聆牙ちゃん。ということは、殤浪ふたりは西幽のどこかで、魔族と戦った経験があるということ。けれども魔界は魔王の命令で、二百年間鎖国の最中。一体どこで誰と戦ったのか。無界閣で刑亥姐さんとやり合ってたのは、捲ちゃんと凜さんだし。

そして、歌のデバフからの必殺技。あの流れ、明らかに初めてじゃなく慣れてる感じ。なのになんでそれ、螟蝗猊下に試さなかったんだろう。

たとえば。べるさんちまで届くほど大音量で歌い、魔族三兄弟や空中に浮遊している魔族も悶えてる描写があった浪さんライブ。殤さんひとり、涼しい顔で拙劍無式ー、とやれたのは何故なんだろう。

 

一番最後の謎だけ、答えができたので小話。

 

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無界閣から飛ばされた先は、殤不患の運の悪さを表すかのように、魔族の本拠地魔界であった。異変を察した魔族らしき三兄弟に襲われ、地の利を得る相手に苦戦するも、退路を確保するために殤は妙案を思いつく。敵の気息を乱せと命じた相棒は、すぐに演奏態勢に入った。激しくかき鳴らされる琵琶、淀んだ色の空を切り裂いて大音量で響く、魔性の声音。

 

魔族の三兄弟は、耳慣れぬ旋律を聞くなり、長兄である諾八地を筆頭に頭を抱えた。

「なんだこの歌は! 経絡を、かき乱されるっ!? 」

一番威勢の良かった弟の羅伽が身悶えしながら叫んだ。兄弟達は元より、上空にいた魔族達もなすすべがなく、地脈から得た魔力の制御経路を失い、見えない縄で捕縛されたかのように動けなくなった。波長は魔属性のものであるのに、効果が高いのが信じられない。

しかし、自分達魔族がこれほど影響を受けているのにも関わらず、剣を構えた黒髪の男は涼しい顔で気を練り上げている。

「兄者ぁ、アイツなんともないみたいだよ~。」

情けない声で阿毘那が訴えれば、諾八地が歯噛みしながら殤不患を睨みつけた。

「貴様、なぜ平気だ?! 」

「ああ? 浪の歌声のことか? まぁそりゃ、鍛錬で。」

「鍛錬? 」

問われれば正直に答えてしまうのが、殤という男だった。

 

 

乱れた呼吸は喘ぎ混じりで、喉が震えている。つんと立ち上がった桜色の乳首の先端に殤が軽く歯を立ててやれば、甲高い嬌声が上がった。過敏な神経がひとところに集まった場所である。舐め、唇でねぶり、甘噛みする度に、乳首から他の性感帯へと長く伸びた導火線に火がついて、快楽の火花が広がっていく。苛まれているのは乳首なのに腹の奥底が熱くてたまらず、浪は伸ばしていた両下肢を無意識に曲げ、足の間に位置する殤の体側を挟み込んだ。片一方をしゃぶられる間にもう片方を指の腹でつねられ、同時にやってきた痺れの奔流に耐えきれず、また浪の唇から喘ぎ声が漏れた。

「これは鍛錬だからな、声は絶対に殺すなよ。」

戦闘で、浪の魔性の歌声は敵の戦力を削ぐのに重要な役割を果たす。しかしいざという時、自分までもが腰を抜かしていたら戦いにならない。かといって、慣れるために無口な浪を聆牙並みに喋らせるのは酷だし、市井で大声で歌わせるわけにもいかないと、殤が考え抜いた末がこの修練であった。

かすれて引きつった声でさえ、胸を揺るがす甘さは魔性ゆえか。すぐ耳元で繰り返される浪の本気の情感の籠った声は、油断すればそれだけで股間を直撃し、放ってしまいそうになる。いや、まだ前戲に過ぎないここで、脱力してしまうわけにはいかない。殤は己を鼓舞し、全身に気を漲らせ、猛る自身を押し留める。

「ああ、はあんっ、不患、ふ、かんっ! 」

「うっ、……まだまだこれしき! 」

過酷な鍛錬の閨は、世が更け、啼き疲れた浪が意識を失うまで続くのだった。

 

 

「積み重ねを怠っちゃ、道を見失う。武芸の鍛錬と同じよ。」

諾八地に向かってにやりと笑った殤の後頭部に、聆牙の呆れ声が届いた。

「かっこつけちゃいるけど、たーだ浪ちゃんのエロい声が聞きたかっただけでしょー! 」

「そうとも言う。……拙劍無式・電掣星馳! 」

「うがぁ! 」

刺突を受けた長兄は昏倒しながら、魔性の声をも無効にする、人間の性豪って恐ろしい、と思った。

 

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