殤浪@サンファンドットコム

【Attention!】こちらはBL要素・18禁の内容を含みます。どうぞご注意下さい。Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 のキャラクターのカップリング推しの管理人、律による、腐向け二次創作記事中心のブログとなってます。

西幽のひとたちは

・西幽のひと達は、なんだかんだと情が深い。

異能を持った子を授かった母上は、なんとしてもその子が迫害されずに無事に生きられる道を探そうとがんばった。

酒場の店主は、食事代が払えない子を外に蹴り出したりはしなかった。飯代が払えないなら詩吟のひとつもやってみろ、と言い、その子供が上手く歌えたら、店に置いて三食付きで養った。

狂狷さんは、違法まがいの酒場で知らないとはいえ片棒を担いでいた浪さんを、牢屋暮らしにはしなかった。利用する目的があったとはいえ、連れてった先は別の酒場や貴族の家ではなく、一足飛びに宮中。これで浪さんが何かしでかせば、狂狷さんの首だって怪しかったのに。狂狷さんはある意味、浪さんの歌の力と、言いなりになる子供の無垢さを信じていたのに違いない。
行けば、皇女様の不興を買うぞ、とは言わなかった。宮中への裏切り行為だとも言わなかった。行けば、必ず後悔するぞ、と言った。相手の心を慮ってなければ、出ない言葉。ここにもひとり、巫謠さんを案じるひとがいた。

嘲風さん。もっとも邪悪な自分のそばにいれば、他のどんな邪悪からも守ってやれる。そこにあったのは、強くてひたむきな愛だった。

睦っちゃん。放っておけない。うん、わかる。なんでこんなに浪巫謠さんってひとは、放っておけないし、みんなが放っておかないんだろう。

殤さん。南方に連れて行ったあとで、浪さんを嘲風のもとにおいとくわけにはいかない、といった。あの時点で、殤さんはきっと、行き場のない浪さんの、魔剣にも似た身を預かる覚悟ができていたんだろうと思う。結局浪さんの意志を尊重して、宮中に戻らず自分で身の始末ができるんなら、と行かせてしまったけど。その後もずっと心配してた。

聆牙。子供の頃から巫謠さんのそばにいて、あれこれ気にかけて。でも浪さんにはインナーチャイルド的な、本来聞こえてはいけない幻聴だと疎まれてて。山でひとりになった浪さんが、怖がらないように黙ってようとした、っていうところで泣けた。

誰かが誰かを思う時、良くも悪くも情が動く。人と人とが手を差し伸べ合って、物語が紡がれる。

理性で計算された話も面白いけれど、東離よりも情で動く西幽がすっかり好きになってしまったので、やっぱり東離は魔境。