花粉なくとも受精する 2
みさかいのないエロです。ご注意。
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ぐちゃぐちゃにしたい、されたい。
辛抱できずに寝室に雪崩れ込み、衣服を脱ぎ捨てたふたりだったが、殤がジェルのチューブを手に大きく足を開かせると、恥じらいを見せて顔を伏せた。
「その、風呂場で、自分で準備してきた。」
「えっ? 」
長風呂だったのはその為かと合点がいく。
「だから、はやくっ、」
待ち侘びていたのはどちらか片方だけではなく。双方が双方とも、花粉が消えるのを待っていた。花粉なんかくそくらえだった。決して出来ないわけではなかったが、浪が没頭できない行為なら、殤とてそこに愉しさは見いだせない。
晴れて気がかりのなくなった今、一刻も早く、思う存分、だんなさまと愛を交わしたい。そんな思いで、浪は洗った後の己の洞を指で押し広げ、それなりに大きさのある殤のモノを想像しながら身の内を寛げることに没頭した。
そんな健気さに、うたれないわけはなかった。殤不患は撃沈だった。しかしてその陰茎は沈むどころかいきり立って宙で跳ね、不動の心臓がばくばくと鳴った。
「んなこと言われたらっ……、秒で出ちまうって。」
念の為にとジェルを念入りに己に塗り、早くとねだる巫謠のアナルにも指を埋めて熟れ具合を確認し、指の腹に吸いつく粘膜と、張りのある前立腺の感触を直に確かめ、「はあっ、」と微かに上がった喘ぎ声に、ああ、巫謠も興奮してんだ、と感じた途端、ぷつりとそこで理性の糸が切れた。殤不患砦、陥落であった。
ぐちゅ、ぐちゅ、じゅっ、じゅっ。
「ひぃぃああ―——っ……! 」
最初からトップスピード、競馬でいったら逃げの脚質だった。やべぇ良すぎて第一コーナーまで持たん。ぐうっと低く呻いて、正面から押さえ込むように覆いかぶさって繋がった浪の腹の中へ、どぴゅっどぴゅっと、官能小説に出そうな擬音をまさしく立てながら精を放つ。
腹奥に叩きつけられた吐精の激しさに悲鳴を上げながら、浪も全身を小刻みに痙攣させた。受け止めただけで達している。殤に与えられる快楽は、浪にとって自慰の数十倍もの強さを持つ。味わった久方ぶりのそれが強烈すぎてくらくらする頭で、真っ白い殤の精が腹の中をぬるりと満たし、奥の奥まで入り込み、脳まで達してかき乱されるのを想像していっそう呼吸が荒くなった。
浪の懊悩をよそに、一度出しても固いままの殤が再び動き出す。第二コーナーもトップで曲がる気まんまんの先行馬である。太ももが力強くしなり、臀部を時に優しく並足で、時にたくましく末脚で叩きつけ、緩急つけて快楽を支配していく。浅い前立腺から深みの狭隘まで、繰り返しむき出しの膜を固いものですりあげられ、何千もの神経細胞がバチバチと弾けるように震えるのに、耐えきれず浪は喘ぐように叫んだ。
「はぁ、不患、も、ダメ、いくぅ!」
「俺も、だっ!」
上から開脚のまま押さえつけられた浪は、串刺しにされた腰を大きく震わせてのけぞった。繋がったところからごぼっと音がするほど再びナカに注がれる。注いだ当人は息を整えると、疲れもみせずに浪の内部の締めつけを堪能するため動き出した。
二度の吐精を深い場所で受け止め、かき混ぜられ、生まれくる快楽に気がおかしくなりそうだった。
「ん———!」
「どうした、巫謠?」
「おくぅ、ふかいとこ、ぐちゃ、ぐ、ちゃ、なってる」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、むずかるように首を振り始めた
「不患、俺、受精しちゃう、受精しちゃうよ———」
◇◇◇◇◇
もうちょっと続きます。